体温より高い気温の8月16日の日曜日、サンスクエア堺ホールで行われた『ジョイントコンサート2020』に出演してきました。
石若先生が指導されている団体が集まってのこのコンサート、私達にとっては夏の恒例行事です。
今年もこれまで通りのつもりで本番に向けて練習を重ねていたのですが、例年とはいろいろなことが違うコンサートになりました。
毎週歌えるのがあたりまえ、みんなで集まって練習出来るのがあたりまえ。そんなあたりまえの毎日は、新型コロナウイルスの出現で崩れ去り、いつから歌えるのか? 合唱なんてやれるのか?
春以降はまったく先の見えない毎日でした。
集合練習は中止になって、ユーチューブのライブ配信でのリモート練習に代わり、団員一人ひとりが個人で練習する日々。広い会場で距離を取って集合練習が出来るようになったのは、7月に入ってからのことでした。
先の見えない不安ややりきれない気持ちを感じていたのは私達大人だけではなく、このコンサートに出演していた泉陽高校の学生の皆さんも同じだったようです。定期演奏会や合唱祭などのイベントは全てなくなり、3年生は引退の場を失っていました。
今回の演奏会には、そんな学生の皆さんを救済する意味も込められていたのです。
客席には、出演団体の人達や高校生の親御さんなど、いつもの半分ぐらいの人しか入っていませんでした。座席と座席の間には距離が保たれ、開演前のしーんと静まり返った様子には本当にびっくりさせられてしまいました。
いつもの石若先生と坂井さんの楽しい進行でステージは進み、あっと言う間に私達の出番になりました。
「新しい合唱様式」とでも言うのでしょうか? 前後左右の間隔を空けて番号の振られた位置に並び、全員マスクをして歌う、と言う初めての体験をしました。
マスクで歌うと言うのは予想以上に苦しいもので、団員の誰もが練習中から、どんなマスクをすれば少しでも歌いやすく出来るのか、試行錯誤を繰り返していたようです。
リハーサルの時は、久しぶりに舞台で響き合う生の歌声に感激で、緊張感はあまり感じなかったのですが、いざ本番になると、しばらくぶりのステージに結構どきどきしてしまいました。
前日の練習やリハーサルで先生から言われたことを意識すればするほど、思うように声が出せず、『きみ歌えよ』と『うたをうたうとき』(※1)は、もう必死で歌っていました。
これも先生から言われていたように、『カイト』と『パプリカ』(※2)では気持ちを切り替えて、歌って踊って、いつものSWSらしさを出せたのではないかと思います。
客席に降りてからは、他の出演団体の皆さんの演奏を楽しみました。私達が元気づけるつもりが、逆に高校生の皆さんから元気をもらい、仲間同士の繋がりや、一つのことにみんなで打ち込む真っ直ぐな思いに心を動かされました。合唱をするにも、一つの演奏会を作り上げるにも、沢山の人達の力や支えが必要です。
身体的距離が叫ばれている今、視覚に障害のある私は、練習が再開されることになった時から、団員の皆さんとの距離の取り方をずっと考えてきました。視覚障碍者にとって、身体的距離を取るのは一番難しいこと。でも、そんな心配は無用で、団員の皆さんは以前と変わることなく私をサポートしてくれました。
ジョイントコンサートに出演出来て本当に良かった! 8月16日、みんなで声を合わせて歌える幸せを改めて教えられた1日でした。
次のジョイントコンサートでは、今回叶わなかった参加者全員での合同演奏が出来ることを心から願って、このブログを終わりにしたいと思います。
※1:混声合唱とピアノのための「新しい歌」(曲:信長貴富)
※2:米津玄師作品より(詩・曲:米津玄師 編曲:石若雅弥)