盲導犬育成活動について
皆さん、盲導犬がどんな仕事をしているのか、ご存知ですか? 盲導犬について勉強してみましょう。
盲導犬って、どんな犬なの?
盲導犬のお仕事
(参考・一部引用)公益財団法人日本盲導犬協会様HP、公益財団法人北海道盲導犬協会様HP
盲導犬とは、目の見えない人や見えにくい人が外出する際に、安全に目的地へ誘導するために、 特別に訓練された犬です。
身体障害者補助犬法という法律により、公共の施設や交通機関、デパートなどの民間施設にも入ることが可能です。
仕事中は、白色または黄色の胴輪をつけています。この胴輪は、ハーネスと言います。
道をまっすぐ歩く
わき道に曲がっていったりしないように、歩道の通りに、また歩道がない場合は建物に沿ってまっすぐ歩きます。
交差点で止まる
信号機や横断歩道の有無にかかわらず、「道が交わっているところ」を止まって知らせます。
障害物を避ける
電柱や歩行者、自転車、店の看板など障害物にぶつからないよう誘導します。
目的物を探す
「階段」「ドア」など、近くにある目的物を探してユーザー(盲導犬がサポートしている目の見えない人や見えにくい人)が触る位置まで誘導します。
不服従の服従
犬は信号の色を判断できないので道路を横断する判断はあくまでユーザーが行います。その命令が間違っているときに盲導犬は指示に従わず、安全を優先させます。
ただし、盲導犬は目的地と現在地の場所を把握して、カーナビのように案内してくれるわけではありません。
そこでユーザーは、頭の中に目的地までの地図を頭に描き、盲導犬に指示を出します。盲導犬は、ユーザーの指示に従いながら、角や障害物をユーザーに教えます。ユーザーは、盲導犬が教えてくれる角や障害物を確認しながら、目的地に向かいます。
盲導犬と出会ったら・・・
ハーネスをつけている時は、声をかけたり、触ったりしない
仕事中の盲導犬は、ユーザーの指示に的確に答えるため、周囲の状況に気を配り仕事に集中しています。むやみに声をかけたり触ったりして、集中を切らさないようにしましょう。
食べ物を与えない
盲導犬は健康維持のため、食事の時間と量を決めて与えています。勝手に食べ物を与えないでください。
盲導犬でなくユーザーへ声をかける
周囲の状況がわからず道に迷っているユーザーや、お手伝いを必要としているユーザーを見かけた時は、ぜひ一声かけてお手伝いをお願いします。
皆さんと同じ場所に、盲導犬を入れてあげてください
盲導犬は、ユーザーの安全のため、そして社会の一員として皆さんに迷惑をかけないよう、きちんと訓練・しつけがされています。同伴拒否をしないよう、ご協力をお願い致します。
どうやって育てているの?
(参考)公益財団法人関西盲導犬協会様HP
盲導犬は大きく5つのステップで育成されています。
資質を持った両親から繁殖
盲導犬の赤ちゃんは主に、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーのお父さん、お母さんから生まれます。
盲導犬としての資質のあるお父さん犬、お母さん犬を選び、計画的に繁殖をしています。
パピーウォーカーに育てられる(生後60日~1歳)
盲導犬の赤ちゃんは、生後60日頃からパピーウォーカーと呼ばれる一般家庭に預けられます。
愛情をいっぱい注ぎ、「人と一緒にいるのが楽しい!」と思うように育てられます。
訓練所での訓練(1~2歳前後)
1歳になると訓練所に戻り、号令や誘導の訓練が始まります。
訓練を楽しくやってもらうために、遊びの中に訓練を盛り込むなど、訓練士の方が工夫を凝らしています。
そして、適性判断が行われ、適性があるとされると、ユーザーになる方との訓練にうつります。
適性があると判断されるのは、盲導犬候補の約3割程度です。
ユーザーとの共同訓練
デビュー前になると、盲導犬を希望するユーザーとの共同訓練が行われます。
ユーザーに合わせて、性格、生育環境、歩行速度、体格などを考慮し、盲導犬の候補を選びます。
ユーザー側も勉強が必要です。道の横断方法、犬のブラッシング方法、公共施設でのマナー、盲導犬に関する法律などを学びます。
約4週間かけて、ユーザーと盲導犬の信頼関係を築きます。
盲導犬デビュー(2歳~10歳)
いよいよデビューです。
デビューすると、盲導犬は10歳くらいまで、約8年間ユーザーと生活を共にします。
パピーウォーカーってどんな人?
(参考)公益財団法人関西盲導犬協会様HP
パピーウォーカーとは、盲導犬の赤ちゃんであるパピーを育てている方です。
パピーは生後60日から約1歳になるまで、パピーウォーカーに預けられ、育てられます。
パピーウォーカーの役割
- パピーを人間社会に慣らす
- パピーを躾ける
パピーウォーカーは、パピーが人間自体や、電車や車の音、雨や雪、人混みなどに慣れるように育てます。
また、食べ物の食べ方、排便の仕方、咬まない、吠えないといった、基本的な躾も行います。
こうしたパピーウォーカーとの生活を通して、パピーは心の成長をとげていきます。
パピーウォーカーの条件
- 訓練センターの近くに住んでいること
- 車を持っている
- 室内飼育ができる
- 留守にする時間が少ない
- 他に犬を飼っていない
月に4,000〜5,000円程度の自己負担が必要な場合があります。(パピーのフード(食事)、治療費、日用品など)
パピーウォーカーは、盲導犬の誕生に欠かせない存在です。
キャリアチェンジ犬ってどんな犬?
(参考・一部引用)公益財団法人関西盲導犬協会様HP、公益財団法人日本盲導犬協会様HP
キャリアチェンジ犬とは、盲導犬を目指していたが、適性がないと判断され進路を変更した犬です。 主に、健康上の理由と性格上の理由から判断されます。
盲導犬候補から約7割が、キャリアチェンジ犬となります。キャリアチェンジ犬は、主に次のような道を歩みます。
- 介助犬(身体障害者の方のパートナー)
- 小学校などでデモンストレーションなど啓発活動を行う
- キャリアチェンジ犬を希望する一般家庭に譲渡され、家庭犬となる
キャリアチェンジ犬を飼育するボランティアの条件
室内飼育ができる
キャリアチェンジ犬は、盲導犬育成の過程で、子犬の頃より室内飼育で生活しています。
そのため室外飼育となると、疎外感をもち、問題行動を起こす可能性があります。
留守が少ない
キャリアチェンジ犬は、人のそばにいることが大好きです。長時間の留守番はさせず、安心して生活できるようにする必要があります。
節度のある愛情をもって飼育できる
犬の体重管理(適切な食事や運動)、健康管理(ワクチン接種・ノミ・ダニ・フィラリア予防など)、日頃の犬のケア(被毛の処理など)を行えることが必要です。
譲渡後も協会と定期的に連絡をとり情報提供を行う
盲導犬協会によっては、定額の寄付が必要な場合もあります。
キャリアチェンジ犬は、盲導犬候補犬であるラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーの基本性格として、楽天的で、順応能力が高く、人と一緒にいるのが大好きです。
また、繁殖犬ボランティア、パピーウォーカー、訓練士などたくさんの人たちから愛情をたっぷり受けて育っているので、人間をとても信頼しています。
ただし、訓練を始めて1、2カ月目で判断される場合もあります。十分に訓練された犬ではないことを認識しておくことが必要です。
キャリアチェンジした犬を飼いたいと思われる方は、盲導犬協会にお問い合わせください。
どんなボランティアがあるの?
(参考)公益財団法人関西盲導犬協会様HP
キャリアチェンジ犬やパピーウォーカーなど、実際に自宅で犬を飼育すること以外に、全国では盲導犬育成のための様々なボランティア活動が行われています。
協会によって内容が異なる点もありますので、詳しくは、お近くの盲導犬協会にお尋ねください。
ケンネルボランティア
ケンネルとは、犬小屋や動物の巣を意味する言葉です。
ケンネルボランティアとは、犬舎の掃除、犬用タオルの洗濯、犬の手入れ、散歩、排泄、給餌、盲導犬をシャンプーするときの補助などを行うボランティアです。
縫製ボランティア
盲導犬が着用する服や、盲導犬候補生のパピーが外出時に着用する服(パピーコート)を作るボランティアです。
学生さんのボランティア
中学生・高校生・大学生や、ボーイスカウト・ガールスカウトによって、募金活動を行ったり、イベントを開催したりする活動です。
法人によるボランティア
- 店の入り口に盲導犬同伴可のステッカーを貼る
- 募金箱を置く
- 盲導犬育成募金自動販売機を設置(飲み物の料金の一部が盲導犬育成の資金にあてられる仕組みです。商品の補充、ゴミの回収は業者が行います。月々の電気代のみ法人が負担します。※動物病院に置かれることが多いです)
- ショッピングモールや百貨店のイベントスペースを利用しての催し
- チャリティーゴルフコンペの開催
- 訓練所建物の塗装工事
- タオルの寄付
- 美術館にて盲導犬ユーザーを案内するガイドサポートを行う
- 個人の音楽家や、団体がチャリティーコンサートを行う
※ボランティア休暇の制度を実施している会社もあり、それを利用して活動する方もいます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
盲導犬育成の活動について、少しでもご理解いただけたなら、嬉しく思います。