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SWSの20年

今月創団20年を迎えるSWS、その誕生の日から在籍、もはや化石かおっこと主かというアルトのNです。今回は創立の頃の思い出を振り返ってみようと思います。

そもそも私は、合唱団に入ろうという気はさらさらなかったのです。20年ほど前一生に一度くらいは第九を歌ってみたい、と1万人の第九に初めて参加しました。そこで合唱の魅力に取りつかれ、第九は一生に一度で歌いきれるものではない、ちゃんと歌えるようになりたい、と声楽の先生を探そうと思いたちました。といってもどうして探してよいかもわからず、ネットで検索するうちにたどりついたのが、芸大生のSさんでした。大学で声楽を学び、合唱と声楽指導に情熱を抱いている女の子。「声を聞いてあげましょう。合唱団を立ち上げるのできませんか」そんなメールに誘われて、梅田の会場に出かけたのが20年前の12月のこと。

会場には発起人の女の子たちと現役大学生の石若先生、高校生だった坂井君(ごめんね、合唱連盟の理事さんなのに君なんて呼んで)、先日の演奏会で合同演奏に参加されたOBOGも数名おられました。当時はインターネットが普通の人々の生活に浸透し始めた頃です。その時代にネットで募集した合唱団に集まってくるのは、それぞれ喉にも声にも自信のある方たちが大半だったと思います。自己紹介より歌えばわかる、ということだったのでしょうか。いきなりAMAGING GRACEと石若雅弥編曲の赤とんぼの合唱が始まりました(この2曲はその後10周年記念演奏会で思い出の曲として歌いました)。

みんな初見で歌えるんや、第九の音程とれへんなんて言うてる私には無理やん、合唱団なんて「遠慮しときます」という私に石若先生が一言「大丈夫ですよ」。石若先生はほんのリップサービスのつもりだったかもしれませんが、純情無垢な私はそれを真に受け、以来20年居座ることに。そして石若先生は出来の悪い団員の指導にずっと苦労することとなります。まさに口は禍の元ですな。

SWSは、「誰もが合唱を楽しめる、そして合唱を通して社会に貢献する」という創立者の思いを団の趣旨として設立されました。年齢も職業も合唱歴も違う団員が集まった集団ですから合唱への思いもそれぞれ、音楽を専攻しているとはいえ学生の女の子たちが組織をまとめていくのは本当に大変だったと思います。団員は大阪のおっちゃんおばちゃんたちですからね、そら言いたいこと言いますわ。でもその時に試行錯誤したことが、20年続く団の基礎を築いたと思います。

石若先生は「SWSは僕が作った団ではありません、僕は指揮者としてきているだけ」と、練習時には必ずジャケット着用でした。にもかかわらず、編曲から振付からめいっぱい働かされておられました。

団長となったSさんは、練習開始前に合唱初心者にボイトレをしてくれました。合唱歴の長い団員からもいろいろなアドバイスが貰えました。意見が食い違うこともあったけれど、とにかく全員がいい合唱団を作ろうと一丸となっていた時期、その時に居合わせたことは本当に幸せでした。

SWSの初めての演奏会は、芦屋病院でした。ここには震災後寄贈されたという黄色いピアノがありました。演奏の目玉はCMメドレー。石若先生が泉陽高校の文化祭のために毎年編曲されていたCMメドレーを曲も振付もお借りして演奏しました。そろばんをもってサンバを踊る、良家の奥様がロックシンガーに扮してガンガン踊る、魔法使いの女の子が現れる、最後は黄色いクマのプーさんのぬいぐるみが次々と出てきて「プーさーん」と大合唱して終わる。SWSの楽しい企画ステージはこの時から始まっていたのです。

これを皮切りにあちこちの病院や老人福祉施設で慰問演奏を行いました。ある施設ではおじいさんが私たちの歌を聞いて号泣してくださいました。涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになりながら言葉にならない声で泣いてくださる姿に私たちのほうが勇気づけられました。

ある施設では、演奏の間中「帰れ」と叫ぶおばあさんがいました。演奏の後でスタッフの方が「あのおばあさんはいつも途中で部屋に帰ってしまうんだけど、今日は最後まで聞いていて楽しかったんですよ」と言われました。20年前はこういうイベントをする施設も少なく手探りで運営されていたことと思います。本当に良い経験をさせていただきました。

コロナ以降、慰問演奏会は中断されていますが、またいつか再開できることでしょう。私が将来どこかに入所したら、必ず演奏に来てくださいね。

SWSのボランティア演奏のもう一つの柱が盲導犬育成のためのチャリティコンサートです。これも結成1年後のクリスマスイブに開催、以後2023年の第7回まで継続して開催しています。我ながらSWSがすごいなと思うのは、単に演奏会をして募金をするだけではなく、きちんと盲導犬のことを自分たちで勉強していること、演奏会に来られたお客様にも盲導犬のことを理解していただく努力をしていることです。そのおかげで盲導犬ユーザーの方と一緒に演奏する機会もでき、団員として仲間になっていただくこともできました。SWSでは、盲導犬だって一緒にステ-ジに立つ団員なのです。

この20年、SWSは合唱祭、合唱フェスティバル、さまざまなイベントに参加してきました。その間たくさんの団員がSWSから旅立ち、またたくさんの仲間がSWSに加わってくれました。大学生だった石若先生は楽譜の出版冊数も数えきれないほどとなり、2023年にはカーネギーホールから招へいされ、2025年には合唱コンクールの課題曲に選ばれるほどの人気作曲家となりました。若き日の石若さんをSWSに引き込んだ女の子たち、あなたたちの先見の明は素晴らしかったよ!

先日の20周年記念演奏会で石若先生は、SWSはあと30年は続くんじゃないですか?とまた口を滑らしましたね。私も老体に鞭打って、あと30年、石若先生にご指導を賜りましょうかね。うわっ、そんな嫌そうな顔しないで。皆さんどうぞ応援してくださいね。

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